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第10回 コーチングスキルについての事例

 さて、今回から2回にわたって現場で発生した例を紹介しながら、コーチングスキルについて学習しましょう。 まず、一例目です。
新人看護師佐藤さん、きょうもなにかミスをしたらしいです。山田師長に叱られています。

 山田師長 「佐藤さん、あなた田中さんの高血圧の持参薬間違えたでしょう?1日2回服用しておるのに、なぜ1回と記入したの?」
 佐藤さん   「申し訳ないです・・・・・」
 山田師長   「申し訳ないです、で済むことではないのよ。もう少し気づくのが遅かったら、田中さんは大変なことになっていたわ」
 佐藤さん   「すみません。1日1回と思い込んでしまって・・・。本当に大変なことになっていました。すみません」
 山田師長   「これからこんなことが二度と無いように気をつけるのよ」
 佐藤さん   「はい。すみません」

果たしてこれで佐藤さんのフォローはできたと言えるでしょうか?
なぜ、ミスをしたのか?と山田さんは質問しています。
山田さんにその気が無くても、言外にあなたのミスよ。そのミスで患者の田中さんが死にかけたのです。と追い討ちをかけているのです。

本当はその事に対する佐藤さんの動揺をフォローしなければいけません。
また、「こんなことが二度と無いように気をつける」だけのアドバイスで本当にこのようなミスはなくなるでしょうか?
新人看護師の佐藤さんの看護師生活の出発はマイナスからのスタートになってしまいます。


改善例

 山田師長 「佐藤さん、田中さんの持参薬服用の間違いについて具体的に教えてくれる?」
 佐藤さん   「すみません。私のうっかりミスです。1日2回服用なのに、1回と記入してしまいました。本当にすみません」
 山田師長   「私はあなたを責めているわけじゃないのよ。うっかりミスっていったけど、どうしてうっかりミスがでたと思いますか?」
 佐藤さん   「私、初めて入院のアナムネをしたんですが、聞くことだけで精一杯で思い込んだのかもしれません」
 山田師長   「初めてのアナムネだったのですね。それは大変よね」
 佐藤さん   「いいえ、すみません」
 山田師長   「ううん、あなたを責めていなのよ。どうすれば今度のようなミスが起こらないと思います?」
 佐藤さん   「ひとつ、ひとつ指先確認をして、声に出して確認すべきでした」
 山田師長   「そうですね。次回からはかならず、指先確認して、声に出して確認してください。入院時のアネムネだけでなく、すべての業務に大切なことですね」
 佐藤さん   「はい、そう思います。これから確実に実行します」
 山田師長   「持参薬の確認の件で、他にも間違わない方法はあるかしら?」
 佐藤さん   「他の方法ですか?持参薬は、薬袋をコピーして薬剤師さんに渡してはどうですか?」
 山田師長   「薬袋に服用方法が書いているから、二重チェックになるかもしれませんね。じゃあ今度からは今のことを忘れずに実行してください。ミスはだれでもあります。そのことを意識して確認作業を慎重にしてください」
 佐藤さん   「すみませんでした。あのー田中さんのご容態はどうですか?」
 山田師長   「田中さんは発見が早かったので、もう落ち着いています。もう少し落ち着いたら私が山田さんに話しして、そのあとお詫びにいきますか?」
 佐藤さん   「是非お願いします」

改善例では、「うっかり」が起こった原因を「どうしておこったのか?」と人ではなく、行動を中心に訊いています。
この質問は、本人を冷静にするには効果的です。その結果原因は「うっかり」ではなく、初めてのアネムネで緊張して、患者さんに質問する事が精一杯で、持参薬の確認を忘れてしまったようです。そのことを本人に気づかせなければいけません。
そして、初めてのアネムネが大変だったと共感しています。そして、ミスはだれにでもあることを明言しています。
それを理解させた上での確認作業をさせることを強く言っています。後は患者の田中さんにお詫びができれば、彼女の看護師生活はプラスからの出発になる可能性が高いです。


 もう一例あげます。
患者さんの依頼を忘れた看護師島田と、その人にクレームを言われた看護師山本との会話です。

 山本 「島田さんちょっといい。あなた患者さんに『待ち時間、あとどれくらいか』と聞かれて答えるの忘れていたでしょ。私クレームを言われたわ」
 島田   「あそう。ごめんなさい」
 山本   「あなたねぇ、私は忙しいのに、仕事停められてぐたぐたいわれ・・・」
 島田   「だからごめんなさいって謝っているでしょ。ごめんなさい、今忙しいから」
 山本   「もう・・・・」

恐らく山本さんは患者さんにかなりクレームを言われたのでしょう。そして、最後に「あの看護師に伝えておけ」ということを言われたのしょう。
しかしこれで山本さんは島田さんにきちんと伝えられたと感じたでしょうか?むしろ二人の関係は悪くなったのではないでしょうか?
まず、山本さんは島田さんに話しかけた時はどういう状況だったのでしょうか?

会話はキャッチボールです。投げ手と受け手の意思がなければ、会話は成り立ちません。
おそらく山本さんの心の中には、「自分は関係ないのに、クレームを言われた」という被害者意識が高かったのではないでしょうか?


改善例

 山本 「島田さん、今時間あいてますか?」
 島田   「10分くらいならいいですよ。ごめんなさい。ばたばたしていて」
 山本   「いいですよ。忙しいところごめんなさい」
 島田   「どういうご用件ですか?」
 山本   「さっき患者さんから『島田さんに待ち時間の問い合わせをしたのだけど、無視されたみたいだ』というクレームを言われたのだけど、そんなことありましたか?」
 島田   「あっ!忘れていました。なんか今日は忙しくて。ごめんなさい」
 山本   「今日は忙しいよね。だけど患者さんも今日は待ち時間が長くてちょっと気が立っているみたいだから、気をつけなくてはね」
 島田   「山本さんがクレーム聞いてくれたのですか?ごめんなさい。私のせいで」
 山本   「あなたのせいだけではないわ。今日は多くの患者さんが『待ち時間が長い』と感じられているので、お互い注意しなくてはね」
 島田   「そうですね。判りました。私もそこまで気が回りませんでした。気をつけます。ありがとうございました。ところで、その患者さんはどこにいらっしゃるか判りますか?」
 山本   「もうお帰りになったみたいよ。『帰る!』っておっしゃっていたから」

まず、会話のはじめに時間が空いているかどうかを聞いています。これで、二人の会話の準備はできます。
山本さんはまず「事実の確認」をしています。患者さんが言ってきたことが本当にあったのかどうかを確認することは重要です。
島田さんは忙しくて、完全に忘れていたようです。忙しくて忘れていたようです。
その忙しさに共感しながら、島田さんは、「誰でも忘れる可能性があるから、こんな日は一層注意しなくてはいけない」とやんわりと注意を喚起しています。
その結果島田さんは素直に自分のミスを認めて、反省することができます。

 蛇足になりますが、その際島田さんは当該患者さんに謝罪をしたほうがよいかどうかですが、条件によって異なりますが、患者さんからクレームを受けた人が、組織の代表としてきちんと対応していれば、わざわざ本人が謝る必要はないと思います。
ただし、院内で顔をよく合わせるようだったら「この間はごめんなさい。今後注意します」と言う程度の謝罪でいいと思います。


さて、次回もコーチングのスキルを使ってスタッフと看護現場における様々な課題をクリアするためにコーチングについて紹介したいと思います。
 
 
 
 
   
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